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労務・人事Q&A

<賞与(ボーナス)についての法律>

 

賞与(ボーナス)はもらって当然と考えている社員がたくさんいると思います。ところが、賞与は毎月の給料とは違って必ずしも会社が社員に支給しなくても良いのです。この点をQ&Aで説明します。以下、説明で賞与とあるのは分かりやすくボーナスのことだと理解してください。


Q、当社では、当期の売上額が目標を大幅に下回り、昨年比30%のダウンとなりました。利益は40%以上のダウンです。そこで、社長から社員への賞与の支給をゼロにしたいと言われたのですが、法律上の問題はないのでしょうか。

A、賞与を必ず支払わなければならないという法律はありません。だから、就業規則に「会社の業績によって、支給額が変動し、または支給しないこともある」と記載してあれば、賞与を不支給とすることもできます。もし、就業規則に記載がなくて、今まで慣行として支給してきたのであれば、突然に賞与を支給しないことは問題となります。

いずれにしても、これまで恒例で賞与を支給してきた会社で賞与を支給できない場合は、できるだけ早い時期に社員に通達することが必要です。社員にしてみれば、会社の業績にかかわらず賞与に対する期待感があります。

また、賞与を不支給とする場合ですが、住宅ローン等の支払いを賞与で行うことが決まっている社員がいるはずです。短期の融資制度を会社が行う等をして、対応する企業もあるようです。法律では決まっていませんが、このような社員の細かい対応は会社への信頼を維持するために必要でしょう。


Q、賞与についての就業規則のモデル規定等について詳しく教えてください。

A、私がパチンコホール企業にアドバイスしている賞与のモデル条文は下記となります。

第○○条 会社は、各期の業績を勘案して、原則として年2回、6月と12月に賞与を支給する。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合には、支給時期を延期し、又は支給しないことがある。

2  前項の賞与の評価対象期間は次のとおりとし、支給日当日に会社に在籍し、かつ通常に勤務していた者について支払うこととする。

賞与支給月

評価対象期間

6月

前年12月1日から当年5月31日

12月

当年6月1日から当年11月30日

 この条文では、不測の事態にも対応できるようにリスク回避をしています。例えば、賞与の支給が資金繰りの関係で遅れるようなケースもあります。そのことを正当化する条文です。このように記載してあると支給月を調整して変更することが可能です。また、万が一支給できないケースもこのように記載してあると法的な責任は回避できます。予測できないような事態は発生するものです。社員とのトラブルを防ぐために必要な条文です。


Q、11月末に退職する予定の社員がいます。12月の賞与の支給日に在籍をしていないと支給できないと話したところ反論されました。つまり、12月の賞与の査定期間は6月1日〜11月30日となっているので、在職していなくてももらうことができるはずだと言うのです。本当でしょうか

A、支給日に在籍していない社員に賞与を支給しないという取扱いは、裁判の判例で認められています。多くの企業で採用しているやり方です。


Q、賞与は賃金と同じように毎年決まった日に支給しないとなりませんか?

A、そのようなことはありません。上場しているような一流企業や公務員は毎年決まった日に賞与の支給があります。だから、それが当然という社員もいるでしょうが、法律ではそのような規定はありません。就業規則に記載してある賞与支給月に支給すれば良いのです。


Q、年次有給休暇を取った社員には休暇1日当たりを計算して賞与を減額しています。忙しいときに働いてくれる休まない社員との賞与の差をつけるためです。問題がありますか。

A、これは法律違反となります。有給休暇を取得したことを原因として、賞与を減額することは法律で禁止されています。有給休暇は無断欠勤と同じような扱いをしてはなりません。


Q、業務上災害で休業している社員の賞与は支給しないとなりませんか?

A、法律では、会社に賞与の支払い義務はありません。ただし、就業規則でどのような規定を定めているかを確認しなければなりません。大企業の就業規則をそのままコピーをしたような就業規則では、業務上災害は賞与を支給すると明記されているケースもあります。

いずれにしても、業務上の休業ですから、おもいやりのような制度があっても良いと感じています。多くの、在職する社員も会社のこのおもいやりを見ることができると会社に対する愛社意識が高まるでしょう。帰属意識と愛社精神がこれからの時代のキーワードとなるはずです。


Q、不注意でパチンコ台を壊した社員の賞与の査定を落として、損害分を減額するようなことは可能でしょうか?

A、可能です。通常の仕事ぶりを査定したのですから、それが原因となる減額なら問題ありません。つまり、業務能力が他の社員より大きく落ちる者の査定が低くて、賞与が少ないというのと同じことなのです。

このようなケースで禁止されているのは、パチンコ台の基盤を壊したら賞与から20万円を減額するというように金額を事前に決めるようなケースです。損害の金額を事前に決めて、賞与から差し引くことは法律違反となります。(もちろん、毎月の給料から差し引くことも禁止されています)


Q、当初予定されていた賞与の支給日には在籍していましたが、賞与の支給が遅れたために在籍していなかった元社員からクレームが来ました。法律ではこのケースでは支払うべきとなっているそうです。本当でしょうか。

A、本人が自己都合退職をしたということですね。このようなケースでは法律では支給すべきという解釈です。会社の資金繰り等の理由で賞与の支給が遅れたケースでは、賞与を支給しなければなりません。

また、会社が予定されていた賞与支給日に在籍していた社員を解雇したとします。実際の支給日が遅れて、その社員は実際の支給日には在籍していなかったとします。このケースでも会社は支給しなければなりません。


Q、退職予定者には賞与をできるだけ支給したくないのですが、退職を理由とする減額支給をすることは可能でしょうか。

A、これは可能です。ただし、判例では勤務を継続する場合と比較して2割程度の減額の範囲内とされています。

ただし、個人的な意見ですが、退職者の賞与の減額を実行するのは会社に良い結果をもたらさないと感じています。つまり、このような取り決めがあると、退職の申し出を言うのが必ず賞与の支給日以降となるからです。正常な会社の運営のためには、少なくとも1ヶ月前からの退職の事前の申し出が必要です。業務の引継ぎ等を完全に行わないとならないからです。

また、賞与を減額をされた社員が業務の引継ぎを正常な気持ちでおこなうかというと疑問です。むしろ残っている有給休暇の取得を最優先させるようなことを考えます。また、会社に対する不満を残りの勤務日数で回りの社員に言いふらすような事態が生じます。お互いの良好な関係の維持のために、賞与の減額は避けるべきでしょう。


Q、賞与から減給の制裁をすることは可能でしょうか。

A、遅刻や無断欠勤等について賞与から減給の制裁をすることは可能です。ただし、就業規則に規定がないとできません。その額ですが、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはなりません。また、総額も賞与額の10分の1を超えてはなりません。

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