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労務・人事Q&A

<試用期間 >

試用期間の規定の重要性について認識していない会社が多いです。試用期間を就業規則に定めていないと、会社に損害を与えるケースがあります。


Q、試用期間とは何ですか。

A、会社は筆記試験や面接試験などの採用選考を行って、社員の採用を決定します。しかし、このような試験だけでは情報が限られています。社員としての適格性があるかどうかを正しく判断することが困難です。そこで、入社後3ヵ月から6ヶ月程度の「試みの期間」を設けて、その間の業務遂行状況によって本採用をするかどうかを決定するのです。この試みの期間を試用期間と呼びます。


Q、試用期間中に解雇をしたときでも、解雇予告手当てを支払うべきでしょうか。
A、労基法の解雇予告手当は、労働者を解雇する場合は、30日前の解雇予告をするか、30日分の平均賃金を支払うかのいずれかを行うように定めています。試用期間中といえども、この規定にしたがって解雇予告手当ての支払が必要になります。採用後14日を超えて勤務した社員の本採用拒否をするケースでは、解雇予告手当制度の適用になります。(14日以内の解雇なら、適用になりません)


Q、試用期間の長さは、どれくらいが適切でしょうか。
A、試用期間の長さを制限する法令はありません。ただし、あまりに長いと社員のモチベーションの低下になります。また、短すぎると社員としての適格性の判断ができない可能性があります。一般的には3ヶ月から6ヶ月の間で設定されることが多いようです。ある調査データでは、3ヵ月の試用期間を定める会社が65%、6ヶ月が14%、2ヶ月が15%となっています。


Q、試用期間の延長はできるのでしょうか。
A、試用期間の延長規定を就業規則に定めておけば、延長が可能になります。その場合でも、延長をする合理的な理由が必要とされます。例えば、遅刻が多い社員の改善度を見るために延長するケースや、業務遂行能力に問題がある社員の適格性を延長して再判断するケースなどは、合理的な理由があるとされるでしょう。


Q、試用期間中でも解雇できると考えて良いのでしょうか。
A、試用期間中は、社員としては不適格と判断する合理的な理由があれば解雇ができます。例えば、3ヵ月の試用期間を定めていたとしても、その途中で解雇できるのです。また、3ヵ月の試用期間満了後に本採用をしないケースでも、採用をしない合理的な理由が必要となります。勤務態度不良、勤務成績不良、業務遂行能力の不足、非協調性、経歴詐称などを理由として本採用をしなかったところ、裁判になったケースがあります。会社や上司がこれらの問題点について、本人に教育や指導をしているかどうかが重要なポイントになりました。試用期間中には、定期的に本人に教育や指導をするルールを会社で規定しておきましょう。


Q、試用期間は全社員一律でなく、職種別に決めても良いのでしょうか。
A、職種別に決めても良いとされています。専門的な能力を必要とされる仕事は3ヶ月程度の試用期間では、能力の判断が難しいものです。そのような職種の採用者が多いので、試用期間を6ヶ月にした会社があります。例えば、店長を指導する営業課長の採用のケースです。半期程度の業績の結果や店舗の指導状況を見てから、本採用をすることにしたそうです。この会社のケースで一般社員を3ヶ月の試用期間とすることが可能です。


Q、スカウトした中途採用者にも試用期間を設けても良いのでしょうか。
A、設けてもかまいません。即戦力を期待したスカウト採用者の能力不足が分かり、トラブルになった事例があります。会社は解雇をしたのですが、本人との解雇トラブルになったのです。この会社には試用期間の規定がなかったことが原因です。正社員の扱いとなると簡単には解雇ができないのです。
本人にどんなに特別な知識や能力があったとしても、その会社で通用するかどうかは分からないものです。リスク回避のためにも、試用期間を設けておきましょう。


Q、パート社員、アルバイト社員を正社員に採用する際の、試用期間の扱いをどうしたら良いのでしょうか。
A、正社員の採用規定のとおりに、試用期間の規程を適用しなければならないと考える総務の担当者がいます。このようなケースでは、試用期間を設けても良いし、設けなくてもかまいません。その会社でパートやアルバイトの勤務実績があるので、正社員としての適格性の判断ができるからです。その者を評価していた営業の責任者や店舗の責任者の判断を聞いて、試用期間を設けるかどうかを検討してかまいません。私の体験では、やる気のあるアルバイト社員を正社員に採用したことがありますが、自己管理に問題を感じました。このアルバイト社員には試用期間を設けて、遅刻を2ヶ月しなかったら正社員に本採用するという条件を付けたことがあります。


Q、試用期間中の賃金を本採用後のものとは別に設定しても良いのでしょうか。
A、試用期間中の社員の賃金を、本採用後の社員の賃金より低額にすることは可能です。(ただし、最低賃金以上という法律の制限があります。)その際には、就業規則中に、試用期間中と本採用後の賃金が異なる規定を入れておかなければなりません。
ところで、差をつけることが適切かどうかは、会社内で充分な議論をしましょう。大学卒社員の初任給における試用期間中と期間後の賃金差を調査したデータによると、約94%の会社が差をつけていないというデータがあります。差をつけている会社は6%しかありません。募集効果を高めることや、会社に対する帰属意識を考慮した結果でしょう。


Q、試用期間中には社会保険・労働保険の加入の手続きはしていません。正社員に本採用になってからで良いと会社で決めています。
A、それは、いけません。試用期間中でも社会保険の適用は、除外になりません。入社と同時に社会保険(健康保険・厚生年金)の手続きが必要になります。労働保険(雇用保険・労災保険)も同様です。ある社員の退職理由を聞いたところ、試用期間中に健康保険に入れてくれなかったことをあげていました。会社に対する不信感が湧いてきたから退職したそうです。


Q、試用期間中のトラブル防ぐアドバイスをお願いします。
A、試用期間があることを事前に採用者に説明をしなければなりません。試用期間中に適格性がないと判断した場合には、本採用をしないことを本人に通知しておきましょう。また、適格性がないと判断される理由として、以下のような項目を具体的に説明して会社の方針を指導しましょう。

  • 遅刻及び早退並びに欠勤が多い、又は休みがちである等、出勤状況が悪いとき
  • 上司の指示に従わない、同僚との協調性がない、勤務態度が悪いとき
  • 能力が不足すると認められるとき
  • 重要な経歴を偽っていたとき
  • 必要書類を提出しないとき
  • 健康状態が悪い(精神の状態を含む。)
  • 当社の従業員としてふさわしくないと認められるとき
  • その他上記に準じる、又は解雇事由に該当する場合

 

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