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労務・人事Q&A

<損害賠償 >


社員の仕事のミスで発生した損害分を、本人の負担で弁償させるということができるのかという相談がありました。労働者と使用者は、労働契約という民事上の契約関係にあります。だから、労働者がその契約に基づく労務提供義務や、その付随的義務に違反して使用者に損害を与えた場合、使用者は、労働者に対して、損害賠償を請求できることになります。ただし、できないケースやできたとしても一部にとどまるケースもあります。


Q、社員の業務上のミスを理由として、会社が本人に損害賠償を請求することができるのでしょうか。

A、ある会社の総務の担当者からの相談がありました。店舗で、閉店後に集計をすると、お客間様に商品を多く渡していたことが分かったそうです。カウンターの女性の手渡しミスが原因のようです。店長が本人のミスなので、この女性に差額分を負担させたいと言っていたのですが、このような対応が正しいのかという相談でした。
  このような業務上のミスを本人の負担にするという損害賠償は、裁判では認められていません。原則的には、業務上で発生することがある程度予測されるようなミスについては、損害は会社が負担すべきものとされています。社員側に落ち度があったとしても、社員に請求することができないのです。本人のミスとはいえ、システムや設備の問題、社員教育の問題などの会社の落ち度もあるからです。


Q、社員が店舗内で友人客に玉を渡していました。玉磨き場からこっそりと持ってきて渡したようです。このような社員に損害賠償を請求して、さらに懲戒処分ができるのでしょうか。
A、このように明らかに犯罪の意図を持って不正行為を行った社員には、全額負担の損害賠償が可能になります。さらに懲戒処分をすることができます。注意するのは、後の解雇トラブルに発展しないように防止することです。就業規則の懲戒処分の規定に不正行為があった場合には懲戒処分をすることを明記しておきましょう。明記しておかないと、懲戒処分はできません。また、就業規則に次のような損害賠償の規定を設け、懲戒処分を受けても、損害賠償の責任を免れないことを明確にしておくことも必要です。
〜就業規則記載例〜
第○○条(損害賠償)
会社は、社員が故意または過失によって会社に損害をあたえたときは、当該社員に対して、その全部または一部の賠償を求めることがある。ただし、当該社員が賠償することによって、本規則の懲戒処分を免れるものではない。


Q、本人でなく身元保証人に損害賠償の請求をする事ができるのでしょうか。
A、できますが、全額の請求ができないケースがあります。損害賠償の身元保証とは、採用した社員の行為により会社が損害を受けた場合に、身元保証人がこれを賠償するという身元保証人と会社との契約です。「身元保証に関する法律」で、身元保証人の責任が規定されています。有効期間は5年以内で、自動更新は無効とされています。さらに、本人の任務や任地の変更があった場合は、会社は身元保証人に通知すべきとされています。この通知がなかったとすると、賠償責任が軽減されます。
  裁判例では会社の売上金の約900万円を着服した現金管理担当者の行為について、@会社の社員に対する管理体制に不備があったことA会社が身元保証人らに、その社員の任務の重要性や責任に説明と了解を得ていなかったことから、損害賠償金額を2割の180万円にとどめたケースがあります。
  ところで、ある会社では現金の盗難をした社員がいると、身元保証人である両親から全額を取るそうです。親に全額を支払うという誓約書を書かせて、分割払いをするという書類に判を押させたこともあるそうです。


Q、社員がセクハラを起こしたとすると、会社が損害賠償をしなければならないのでしょうか。
A、職場でセクハラが起こった場合は、加害者である社員が損害賠償責任を追うことは当然です。さらに、会社も使用者責任があるので、損害賠償請求を受けるケースが一般的です。裁判例では、80万円から300万円の損害賠償金額となっています。
人事管理上でも管理職がセクハラ行為を働いたという事実があれば、会社は厳しい処分をするべきでしょう。セクハラ行為をするような管理職がいると、組織の一丸力が弱まり、業績の急降下を招くからです。


Q、インターネットで顧客情報が流出しました。会社が損害賠償を請求されることがありますか。
A、顧客情報がインターネットで流出した場合は、会社は顧客から損害賠償を請求される可能性があります。あるエステサロンの顧客情報が漏洩した事件の判決では、一人当たり約3万円の支払が命じられました。ミスをした本人に損害賠償をできるのですが、会社の管理責任もあるので、金額は制限されます。
店舗からイベントなどの宣伝のために発信するお客様の携帯電話のアドレスが、メールで漏れてしまった会社から相談があったことがありました。至急にお客様にお詫びの連絡をして、事なきを得ましたが、重大な問題に発展する可能性もありました。セキュリティーには会社の万全の対策が必要です。特に、顧客の住所や名前などは流出しないように、厳密な保管のルールが必要です。


Q、派遣社員が横領していました。損害賠償は派遣社員に請求するのでしょうか、それとも派遣会社に請求するのでしょうか。
A、どちらも可能です。派遣の雇用契約は派遣元の会社と派遣社員の間に成立しています。通常は派遣元と派遣先は労働者派遣契約を締結していて、このような派遣社員のトラブル事例についての損害賠償の規定が置かれているはずです。もし、そのような規定がないケースでも、横領など違法な行為をした場合は雇用契約をしている派遣元には、使用者責任が発生します。だから、損害賠償をする責任があるのです。
ただ、派遣先も管理が適切でなかったような場合は、全額の損害賠償ができなくて損害額が減額されるケースもあります。
未然に防ぐ対策は派遣社員に現金管理や玉・コインの管理などの守るべき基準を教えて、このような違法行為があったときは厳しい措置をすることを教育しておくことです。就業規則の損害賠償の説明をしたりするとけん制効果があるので抑止力になります。


Q、社員の不注意によりパソコンがウイルスに感染しました。取引先との通信で損害を与えたような場合は会社で損害賠償をしなければならないのでしょうか。
A、会社は損害賠償をしなければなりません。社員の不注意が原因ですが、会社がウイルス対策のソフトウェアーを用意しなかったことや、ウイルス対策の指導をしていなかったことも原因となるからです。本人への損害賠償は難しいケースです。
  ところで、パソコンソフトの違法コピーを社員が行っていたケースで、それが発覚して何千万円もの支払いをしたという事例があります。このようなケースでも担当者の責任でなく、放置していた会社の責任が重くなります。損害賠償の責任は会社になります。

 

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