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労務・人事Q&A

<懲戒>


社員が何らかの会社の規則違反をしたことに対する制裁として「懲戒処分」をすることがあります。その一つで「懲戒解雇」という言葉は聞いたことがあると思います。今回は「懲戒」について説明いたします。


Q 、懲戒処分の種類にはどのような種類があるのですか

A 、譴責(けんせき)、減給・出勤停止・懲戒解雇が代表的です。譴責とは始末書を出させて将来を戒めることです。減給は本来ならば受けられるべき賃金の一部をカットされることです。出勤停止は労働者の就労を一定期間禁止することです。懲戒解雇は会社が労働契約を一方的に解消することです。


Q 、懲戒処分を受ける理由にはどのようなものがあるのでしょうか。

A 、懲戒の理由は法律で決まってはいません。これはそれぞれの会社が就業規則で定めるものとされています。一般的には下記のような理由があります。

(1)経歴詐称(けいれきさしょう)〜入社時に経歴を偽って申告することをいう。管理職で採用された者がこれに該当すると懲戒解雇理由に相当するケースがあります。

(2)職務懈怠(しょくむけたい)〜無断欠勤、遅刻過多、職場離脱等の職務規律違反です。繰り返すと重い懲戒処分を受けることになります。

(3)職場規律違反〜横領・背任、窃盗、暴行、セクハラ等です。


Q 、懲戒処分は社長の指示で自由に行うことができるのでしょうか。

A 、懲戒処分は懲戒の種類や理由を就業規則に明記しておかなければ行使することができません。例えば、就業規則に記載がないと、酔っ払い運転をしたとしても懲戒解雇をすることはできないのです。

また、就業規則に記載しておくと、会社で守るべきことと罰則が分かるので「けん制効果」が期待できるようになります。不正行為は厳しく罰すること等を新入社員研修で教育しましょう。


Q 、「減給の制裁」とはどういうものでしょうか。給料のカットができるということなのでしょうか。社員の働いた分は給料の支払いをしなければならないと労基法で決まっているはずですが。

A 、労基法の 91 条に減給の制裁の規定があります。その規定で給料の一部カットが認められています。ただし、上限があります。「 1 回の額が平均賃金の 1 日分の半額を超えないこと。総額では一賃金計算期間で 1 割を超えないこと」と定められています。就業規則に記載があると、遅刻や無断欠勤が多い社員等に対して懲戒処分として給料のカットを行うことができるのです。


Q 、当社は月給制度ですが、懲戒処分の「出勤停止」をした場合でも全額支給するのでしょうか。

A 、月給制度でも出勤していない日数分の給料はカットすることができます。出勤停止期間中の給料をカットをすることに懲戒処分の意味があります。この場合は減給の制裁の規定の制約もありません。

 映画で釣り好きの主人公が出勤停止の懲戒処分を受けて、大喜びで釣りに出かけるシーンを見たことがあります。あまりに楽しそうなので、給料が全額支給されて、休みがもらえるのかと勘違いしそうになります。

この出勤停止期間ですが、実務では1週間〜 15 日間を限度としているケースが多いようです。半月分の給料カットがあるとなると厳しい処分ですね。


Q 、実際に懲戒をするときの注意点は何があるのでしょうか。

A 、後日でのトラブルにならないように、懲戒処分の種類と理由を書面で本人に渡すことが必要です。また、懲罰委員会の制度を設けて客観的な第三者が決定するという仕組みも必要です。


Q 、健康診断を受けない社員に懲戒処分をすることは可能でしょうか。

A 、可能です。会社には社員に健康診断を受けさせる義務が法律で定められています。社員も健康診断を受ける義務があることが法律で定められているのです。健康診断を受けなかった社員に減給の制裁の処分をすることが認められた判例もあります。


Q 、ひげを生やし始めた社員に対し、これを剃るように強制できるのでしょうか。また、どうしても応じない場合は懲戒処分をすることが可能でしょうか。

A 、お客様に清潔感を感じさせる身だしなみが接客では望まれています。身だしなみ全般について服務規程などで規制をすることが可能です。ただ、一般的にはいきなりの懲戒処分は慎むべきとされています。

 このようなケースでは懲戒処分の問題とするよりは、社員教育の問題として指導するほうがうまく行くケースが多いでしょう。なぜ、清潔感のある身だしなみが必要なのかを教育をすることです。


Q 、定期券代を不正受給していた社員を懲戒解雇できるのでしょうか。

A 、長期に高額の不正受給をしていた場合は懲戒解雇も可能です。不正受給した分は返還を命じることができます。軽微な不正受給の場合は、それ以下の懲戒処分をすることが妥当でしょう。


Q 、ある社員が不正をしていました。金額で 1000 万円以上の損害だったので、懲戒解雇処分をしました。ただ、同じ店舗の何人かがその不正を知っていたそうです。この者たちも会社に連絡する義務があるはずです。一緒に懲戒処分をすることは可能でしょうか。

A 、不正をした社員の上司が知っていたのならば懲戒処分をすることは可能です。これは部下の業務遂行を監督し指導すべき職務上の義務があるからです。ただし、同僚や部下には懲戒処分をすることは難しいでしょう。

このような見逃し行為を防ぐために内部通報制度を設けている会社もあります。匿名で内部通報できる窓口を会社内部に設けているのです。早い時期にこれらの不正行為の端緒をつかむことができ、被害の増大を防ぐことが出来ます。


Q 、会社の仕事以外のアルバイトをしている社員がいました。懲戒処分をすることは可能でしょうか。通常の業務に支障はありませんが、好ましくないと思います。

A 、好ましくないという理由だけでは懲戒処分はできません。会社の就業時間以外の社員の行為を制約できないからです。ただし、そのアルバイトの仕事の負担が重く、著しく就労能力が低下した場合やアルバイトの業務を勤務時間中に行った場合は規制をすることが可能です。職務に専念する義務があることを指導しましょう。


Q 、残業を拒否する社員に懲戒処分を行うことは可能でしょうか。

A 、いわゆる三六協定が締結され労基署に提出されている場合は、残業命令をすることができます。これに対する違反は業務命令違反として懲戒処分にすることができます。

しかし、懲戒処分を行うことが可能といっても、時間外や休日残業は本来ならば社員がプライベートで利用できる時間に業務を命じるわけですから、個々にいろいろな事情があるはずです。拒否の理由を聞いた上で、懲戒の処分を行うかどうか、また、処分の程度について検討する必要があるでしょう。


Q 、懲戒解雇となるケースには具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。

A 、ある調査によると、「経理課員の使い込み」が懲戒解雇につながる可能性が最も多いケースとなっています。また、「重要機密事項の漏えい」、「売上金を私的な行為に流用」した場合も懲戒解雇につながるケースが多いようです。その他、最近では「インターネットで中傷」等の行為を、懲戒解雇に値するという企業も増加しています。


Q 、懲戒解雇の場合は退職金が出ないと言われていますが本当でしょうか。

A 、懲戒解雇の場合は重大な会社に対する背信行為があったとされるので、退職金の支給をしなくて良いとされています。最近、定年間近の公務員が酔っ払い運転で懲戒解雇となったニュースが流れていました。退職金はおそらく出ないことになるはずです。


 

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